魔物の出現に右往左往する街の人々。 フェイン「ファト嬢! やばくない?!」 ファト 「どどどどうしよう、あんなでっかいの呼べるなんて思わなかったし…」 フェイン「しーっ! それバレたらやばいって!」 ファト 「そそそそだよね。とりあえずこっちは安全そうだけど…、…あっ!!」 フェイン「何さ」 ファト 「あの魔物の向かってる方って、南地区!」 フェイン「…げっ、メディ嬢…!」 外に出たメディ、片手に杖を持ち、片手を壁につきながら歩いている。 ふと顔を上げると、月を背にして彼女を見下ろす巨大な魔物。 その気配を感じ取ったが、動くことのできないメディ。 銃声。顔を押さえてのけぞる魔物。 魔物の懐に飛び込む影。黒いマント。銀髪。(=ジャニス) 魔物の脚に、ジャニスの前蹴りと回し蹴り。体勢を崩す魔物。その腹部にジャニスの肘打ち。腹を押さえて後ずさる魔物の顎に、銃をぴたりと当てる。 ジャニス「…地獄で逢おう」 銃声。倒れる魔物。 建物の陰からノディがひょっこり顔を出す。 ノディ「何だ、僕の出る幕ないじゃん」 まだ動いている魔物を足でつつくノディ。 ノディ「普段から一狩りやっててよかったよね、ジャニス採取ばっかりしてたけど。あ、残念だけどリアルだから剥ぎ取りできないと思うよ」 同じく建物の陰から、恐る恐る出てくるヤマト。 ヤマト 「ジャニス……無事なの?」 ジャニス「ふ…。見ての通りだ。それにしても、ここは一体…」 ノディ 「RPGの世界っぽい感じだよね。あ、それより、さっき女の人がいたよね?」 後ろを振り向く3人。 座り込んだメディが手探りで何かを探している。 ノディ「お姉さん、落し物?」 メディ「…はい、杖が…」 ヤマト「ひょっとして、あれ…かな…?」 ヤマトが指差した先に、魔物に踏まれたか真っ二つに折れている杖。 ノディ 「あちゃー、派手に逝っちゃってるね」 ジャニス「目が…見えないのか。俺が運ぼう。ヤマト、杖を頼む」 ヤマト 「う、うん」 メディに近づき、彼女を抱き上げるジャニス。ジャニスの方に顔を向けるメディ。メディの美しい顔が、月明かりにさらされる。 ―――その瞬間、ジャニスの恋が始まった。 |