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Radwair Chronicle |
"長い夏の名残" 〜the Only Note〜 |
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□晩秋。近衛長の部屋 机に両肘をついて溜息をつくコウ。 コウ「ヴァルトから色々と事情は聞いたが」 コウ「無断でひと月行方不明はあんまりだろう」 神妙にしているレリィと、態度の悪いシークェイン。 コウ「で、相談の結果」 コウ「シーク」 呼ばれて顔を上げるシークェイン。 コウ「エアヴァシーにはロンバルドを代理にやるから」 コウ「お前は当分ラドウェアを出るな」 コウ「謹慎処分だ」 □翌春。巫女の部屋 ベッドに半身よりかかり、頭の後ろで腕を組んで天井を見上げているシークェイン。 シーク「謹慎ってのは普通こんなに長いもんかな」 レリィ、不思議顔。 シーク「エアヴァシーの守備隊長がなんで半年もラドウェアにいるんだ」 シーク「冗談じゃない」 レリィ、ためらう。 レリィ「ごめん…」 シーク「なんでおまえが謝る」 起き上がるシークェイン。 シーク「どうせアリエンかコウになんか吹き込まれたんだろ」 レリィ「アリエンはそんなこと…」 シーク「おまえのことになるといっつもめちゃめちゃ怒る」 レリィ「…………」 シークェイン、やや口を尖らせて目を逸らす。 レリィ「ラドウェアは」 レリィ「退屈？」 シーク「まあな」 シーク「することがない」 自分を責める表情のレリィ。気づいて、ベッド側のレリィににじり寄るシークェイン。 シーク「でもまあ、」 シーク「おまえとゆっくりしてられるのは」 シーク「悪くないんだ」 ドキドキするレリィ。 シークェイン、レリィの隣に陣取り、照れ微笑。目を逸らす。 シーク「それだけは悪くない」 レリィ「シーク…」 ひたすら恥ずかしげなレリィ。 脇の辞書を目に留めて、テーブルの上に置く。 レリィ「か、書き取り」 レリィ「昨日の続きから」 シーク「あぁ」 声 「レリィさん」 シャンクが顔をのぞかせる。 レリィ 「なに？」 シャンク「ディアーナさんが呼んでますよ」 レリィ 「わかった、すぐ行く」 立ち上がり、スカートをととのえるレリィ。 レリィ「ごめん…ちょっと行ってくる」 レリィ「しっかり書き取りしててよ」 シーク「わかってる」 部屋を出て行くレリィ。戸口でシャンクがいたずらっぽく笑う。 シャンク「邪魔しました？」 シーク 「別に」 シークェイン、さっさと行け、と追い払う仕草。 シャンク、もう一度笑ってドアを閉める。 一人になったシークェイン、溜息。 ズボンのポケットから、くしゃくしゃになった折りたたまれた手紙を出す。 辞書を開き、手紙と見比べながら、 シーク「し…し…親愛なる？」 シーク「あほう、こんなので辞書引く手間増やすな」 （レリィ）―――親愛なるシークェイン殿 ―――お元気ですか。 ―――ラドウェアも少しずつ夏らしくなってきました。 （イメージ）遠くを眺めるレリィ ―――巫女はラドウェアを出られないから ―――他の土地の事はよくわからないけど、 ―――エアヴァシーの夏は長いのだそうですね。 （イメージ）手紙を書いているレリィ ―――長くて ―――とても長くて （イメージ）寂しげな顔でペンを止め、遠くを眺めるレリィ ―――不安になります。 シークェイン、少しの間止まる。 ―――ではまた、冬にラドウェアで。 ―――それまでお元気で。 ―――無事を祈っています。 ―――レリィ・ファルスフォーン 辞書を置き、ふっと笑うシークェイン。 シーク「大したこと書いてないじゃないか」 シーク「何が恋文だ、シャンクの奴」 □時間経過。巫女の部屋 レリィが入ってくる。 レリィ「シーク、ごめん。お待たせ」 レリィ「シーク？」 レリィ「どこ行っ…」 机の上の紙に気づくレリィ。 手に取り、ゆっくりと開く。 （シーク）―――レリィへ （シーク）―――反事 去年の手紙の レリィ（なにこれ倒置？） レリィ（字間違ってるし…） ―――今読んだ。 ―――おまえの字が好きだ。 ―――意味わからなかったがよく見てた。 ―――次はエアヴァシーに連れて行く 夏に。 ―――覚悟しろ。 ―――シーク レリィ、下を向いて照れまくる。 手紙を畳んで、どこに置いていいかわからない様子。 レリィ（今年の夏は レリィ（きっと長くない……） 窓から見上げる空、風が吹き渡る。 |
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