指定:シャンク

 人の声は途切れ、鳥の声を聞くには早すぎる夜更けの刻。
「ねえ…他の女のこと考えてない?」
 甘い香の匂いの中、女はそう問いながら気だるく男の首に腕を回す。
「まさか」
 遠くに泳がせていた目を戻し、にっこりと邪気なく笑う。その笑顔に、女が頬をゆるめた瞬間を狙いすましたかのように、
「男ですよ」

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