お題「ティグレインと小動物」/「雨」

 濡れた渡り廊下の柱のすそ、ひょこりと何かが顔を出す。黒猫だ。シークェインが時折面倒を見ている2匹のうち1匹。
「また貴公か」
 以前に手酷く追いやったはずなのだが、雨にかき消えんばかりの小さな声で鳴き、しきりに体をすりつけてくる。手を伸ばしてやると身を翻した。
 ブーツに残されたのは、泥。

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