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2-03 疑念



「シュリアスト様のお父上とお母上は大変愛し合っておられましたが、
 お子にはなかなか恵まれず


「先に生まれたのがあなたでした」




「……おれが?」



 
「あなたとシュリアスト様は母親が違うのですよ。

「正妻の他に妾を取る……ここアルカラーダでは珍しい事ではありません」



「シュリアスト様のお母上は、
 シュリアスト様がお生まれになると同時に亡くなりました。
 ですからあの方は母親の顔を知らない……。

「ただ、ナイヤという侍女が母親代わりでした。
 ……私の姉です」



 

「死んだのか」

「ええ」





「おやじは
「なんで死んだんだ」



 

「ガラト様ですか?
「火災ですよ。よくある事故です」

「焼け死んだのか」
「ええ」



「殺したんじゃ
「ないのか」



 

「あいつが殺したんじゃないのか!?」






「カンがいいですね」

 



「それだけカンがよくてどうして」




「私も共犯かも知れないって思わなかったんですか?」




 





「冗談ですよ」


 

「言った相手が私でよかった」



「他の者だったら
 この世に居場所がなくなるところでしたよ」



 

「あなたも私も

 弟ぎみもね」








 



(あいつが、親父を―――)

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