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3-02 戦を重ねて





何度か戦いを経てわかったことは



まともなのは一部の上流家だけで
あとはバダーザンと大して変わらないということ





裕福で誇り高いオルドーク家はもちろん違ったが



戦が起こるたびに

人が殺され
金品が盗まれ
女が犯され
家が焼かれる





おれは時々
アイガーレと共にバダーザンに出入りしては



「おこぼれ」をもらっていた



「力の前には全てが屈服する
「俺たちはそれにただちょっと便乗するだけだ」



「戦いを享受し、街を焼き、金と女を奪う
「戦とはそういうものだ」







このところ寝つけないのは



戦で高ぶっていたせいだけじゃなく









無性に女を抱きたかった



















「おい」



「言っとくがおれは別におまえとケンカするつもりはない
「地位とか血筋とかそんなものはくそくらえだ
「だがその気になれば、おまえを殴り殺すぐらいやってもいいんだぞ」













「…………くそっ」





あいつが
何もかも知ってるような気がした



それでもおれは
バダーザンに出入りするのをやめなかった





おれは18になろうとしていた





人を殺したことは まだ ない



>> 3-03 警告



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