Radwair Chronicle
"しあわせおすそわけ"
〜Sweets with You〜
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 ぱたぱたと足音を立てて階段を駆け上がり、行儀悪く背中で扉を押す。
 優美な装飾の部屋では、ラドウェア女王ユハリーエその人が、読書をしていたところだった。
「ママ!」
「あら、ディアーナ」
 屈託なく微笑み、本を閉じる。
「どうしたの?」
「ママにもあげる。おいしいの」
 最後の一かけのタルトの皿を差し出す。ユハリーエはしばし首をかしげていたが、
「ありがとう。でも、ディアーナのおやつでしょう?」
「うん、すっごくおいしかった。さいしょに一口たべたの」
「一口だけ?」
「うん」
「それで、ママにくれるの?」
「うん」
「じゃあ、ディアーナのおやつなのに、ディアーナは一口だけでいいの?」


   ディアーナは







固まった。


 
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