風を切る音がした。ざっくりと切られたエンガルフの懐から、へぇボタンが零れ落ちる。
シュリア「漫才はいい加減にしてもらおうか!」
剃刀のシュリ。それが彼女の二つ名であった。―――たとえ、この場の誰もが忘れていたにしても。
エンガルフはゆっくりとへぇボタンを拾い上げ、唇を寄せた。
エンガルフ「クックックッ。ハニー。それが貴様流の告白か」
シュリア「違うと言ってるのがわからんか!」
喚くシュリアストをかばうように、コウが歩み出る。
コウ「とにかくだ。どこの馬の骨とも知れない輩にうちの可愛い生徒をやるわけにはいかん」
エンガルフ「ほう。では貴様が代わりに私の嫁になろうという腹積もりか」
コウ「……どうしてもと言うなら仕方ない」
シュリア「待て。やめろ。思いつめるな」
その時。
???「や、やめて下さい!」
一同が振り向くと、そこには、見違える姿のモリンが立っていた。
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